MEMO・REAL的な何か

おかずのりです。ボカロ黎明期から細々と音楽活動を行っています。ギター関連やDTM関連メインで記事を書いています。

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NEUTRINO AIきりたんを使ってみて適材適所を探る

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2月22日に突如無料で公開されたボーカルシンセサイザー NEUTRINO。何曲か歌を入れてみてこのツールの使いどころが少しずつ見えてきました。

MIDIデータの注意点

CUBASE上で作ったMIDIデータを元に楽譜作成ソフトのMusic Scoreに読み込ませたのですが、クオンタイズされていないノートに対して余計な休符が混入してしまい、上手く歌声に変換できないことが発生しました。

音符に対して歌詞を割り当てているはずなのですが、どうもうまくいきませんでした。解決策としては、MIDIデータ自体をクオンタイズして対応しました。カバー曲等で実際の元となる歌声にタイミングを合わせているとこうなりがちですが、この場合だとNEUTRINOを使った歌声生成は難しいように思えます。

後で気づいたのですが肺活量が設定されている為、息継ぎを考慮したMIDIデータを作らなければいけません。途中からかすれ声になって解決策もなく途方に暮れていたのですが、息継ぎできないノートになっていたのが原因でした。まさかこんなところまで人間らしさを追求していているとは。これはちょっと驚きました。

それ以外では、ノート同士が重なっているとその直後に余計な休符が入ってしまい、以降のノートが無視されてしまうこともありました。

以上の点から歌詞が欠落したりかすれ声になってまともに再生されない場合は、MIDIデータそのものに問題があることが大半なのできっちりと打ち込んでいく必要があります。手弾き入力するとそういった点で粗が出てしまうので修正は必須ですね。

また、編集過程で上手くいっているかがわかりづらいので、VOCALOIDやCevioのように即時修正ができないところも不便です。そういった点で楽譜作成ソフトを介した編集はやりづらいと感じてしまいます。

音域とBPMの問題

VOCALOIDやCevioは比較的広い範囲で割と破綻なく歌ってくれますが、NEUTRINOだと元となるデータの適切な範囲を超えてしまうと聴くに堪えない歌声となることがありました。BPM72くらいでロングトーンを多用したデータだと、なぜか途中から無声音のようなかすれ声に変わったりしてまともに変換してくれませんでした。歌詞パートを分割してやればいけそうな気もしますが、手間がかかるのはやむなしといったところです。音域や譜割りについても同様の印象です。

この点についてはMIDIデータそのものに問題があったことが判明したので、今のところそこまで大きな問題にはなっていません。VOCALOIDやCevioよりは最適な範囲がはっきりしているので、あまり無茶な音域や譜割りは避けた方がいいでしょう。

歌声のクセはどこから?

NEUTRINOは2種類の歌声データが実装されていますが、それぞれ得意分野が違っていて差別化されています。得意な範囲はピンポイントであまり汎用性はありません。

他に特徴的な事は、歌声生成時にしゃくりや語尾のピッチ上げ等の歌唱時のクセが自動的に付加されることです。このおかげで人間的な歌声に近い響きとなっています。厳密にテストはしていませんが活舌や各音素の繋がりも割と自然なので、他の歌声生成ソフトのように違和感のある部分に対して、特殊な調整をする場面がありませんでした。ただ破綻した場合は回避策がないので詰んでしまいます。

歌声の印象はCevioを更に歌手寄りにしたイメージが強く、その歌声に合えば一番満足できる歌唱になりそうです。Cevioでもその点は強く感じたのですが、更に一歩踏み込んでおり、プロデュース的側面で作曲を進めていく必要がありそうです。なのでVOCALOIDのように高速歌唱や人の音域を超えた歌唱のような自由度はありません。

波形の特徴

歌唱データの波形は他のソフトよりも強弱がはっきりしていて生々しいです。そして音量も他のソフトよりも大きめです。

同一箇所を比べると以下のようになります。均一化されたCevio ONEに対してNEUTRINO きりたんは音量差があり最大音量も大きめです。歌い始めの部分にピークがあるので、波形の後処理は本物の歌声と同様に取り扱うのがいいと思います。

AIきりたんの波形

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Cevio ONEの波形

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最後に

初音ミク以降、停滞気味だったボーカル作成ソフトも今回のNEUTRINO登場により変わっていくような気がします。有料で構わないので、もう少し歌唱ライブラリを充実させるとともにより詳細な調整が可能な専用エディターをリリースしてほしいです。